基本的な人権を求めて〜タイのトランスジェンダー

プロジェクト:SDGs キャンペーン 寄港地エリア:アジア クルーズ: 第94回 地球一周の船旅
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基本的な人権を求めて〜タイのトランスジェンダー
性問題・トランスジェンダーの活動家であるパニサラ・スクンピシャイラット(愛称:ポイ)さんは、第94回ピースボートの横浜からプーケットの区間で乗船されました。船上でポイさんは、タイでトランスジェンダーなどの人々の権利を改善するために、どのような活動を行っているかについて話しました。 

ポイさんのストーリー

基本的な人権を求めて〜タイのトランスジェンダー女の子は人形、男の子は車、などという固定概念に縛られない社会を目指す。
パニサラ・スクンピシャイラットさんは、生まれた時の生物学的な性別は男性でした。そして、中学校までは特にジェンダー(*1)について考えることはありませんでしたが、高校で男子校への進学が強いられました。

ポイさんは男子校の施設や環境に違和感を感じ、自分は女性ではないが、男性でもないと感じ戸惑いました。

長い間、この戸惑いとともに生きていきましたが、大学の性教育のイベントに参加しました。その時出会った、トランスジェンダー(*2)活動家が人生を大きく変えることになります。

この活動家の講座やカウンセリングを受け、ポイさんは自分のことをより知ることができ、自分を受け入れることができるようになりました。大学卒業後、「自分の体と自分の中身を一致させる」決断をしました。

(*1)ジェンダーとは、生物学的な性別(男・女)に対して、つくられる社会的・文化的な役割を含む性を指します。たとえば、「女の子は人形で遊び、男の子は車で遊ぶ」といったもの。女の子は人形で遊んだり、ピンク色を着たり、ドレスを着るといった固定概念はその文化のジェンダーを表します。

(*2)トランスジェンダーとは、自分の生まれた性と自認している性が一致しない人を指します。
「トランス」とは反対側へ渡るという意味があり、「トランスジェンダー」とは反対の性へ渡るという意味があります。

医療で有名なタイの裏側

基本的な人権を求めて〜タイのトランスジェンダー船内でタイについて話すポイさんの様子
タイは医療観光(*)で有名で、性転換の手術を受けたい人を歓迎しています。しかし、これは外国人のみに対する態度です。「トランスジェンダーのタイ人への対応は全く違います」とポイさんは語りました。

タイ国内のトランスジェンダーの人は、学校やコミュニティからいじめを受けたり、暴力を受けたりすることも多くあります。ホテルの入り口に「犬とトランスジェンダーお断り」と書いてある看板もあるぐらいです。

このような差別を日常的に受けると、人は大きな影響を受けます。自分を受け入れられずにいる方や自殺にまで追いやられる方も少なくありません。

*医療観光とは、治療や検診などを国外の医療水準の高い国で受けることをいう。

タイ・トランスジェンダー・アライアンス

基本的な人権を求めて〜タイのトランスジェンダーポイさんの団体が作成したポスター
ポイさんは現在、タイ・トランスジェンダー・アライアンスという団体の一員として活動しています。

LGBT(*)がより平等な権利を得られるように活動しています。活動内容は、LGBTの方々が直面する課題をより多くの人に知ってもらい、解決策をみつけることです。例えば、様々な政策を、よりLGBTの方々に配慮するように変えています。

タイでは、法律上の性を変えることはできません。そのため、女性として性自認をしていても、法律上は男性であるため、徴兵制に従う必要があります。タイの男性が兵役に参加する際、徴兵検査のため、他の男性兵士の前で裸にさせられます。

生まれた時は男性だったが、アイデンティティが女性という人も同じように、男性の前で裸にさせられます。こういった報告から、ポイさんの団体はトランスジェンダーの人と接する際の注意点を政府へ勧告しました。

それだけでなく、将校向けの教育パンフレットを作成し、認知度を高めました。さらに、社会の認知度も高める活動として、高校生向けに資料を作成し、タイの教育省へ提出しました。

また、トランスジェンダーの方が情報を得ることができるように、ホルモン投与やセクシャル・ヘルスに関する情報も提供しています。

*LGBTは性的少数者を限定的に指す言葉。レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(出生時に診断された性と、自認する性の不一致)の頭文字をとった総称。
基本的な人権を求めて〜タイのトランスジェンダー船内で他のスタッフと水案と食事を楽しむ様子
ポイさんの活動は、国連が掲げる持続可能な開発目標SDGsと関係しています。この持続可能な開発目標は性、収入、年齢、性的指向、人種、宗教による不平等を無くすためのものです。

SDGsのモットーでもある、「誰一人取り残さない」を実現するために、何が必要かを考えさせられます。

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