本当に伝えられているのか?福島の教訓-チェルノブイリとの比較から

プロジェクト:災害救援と防災
本当に伝えられているのか?福島の教訓-チェルノブイリとの比較から環境創造センターに展示されている事故を起こした福島第一原発の模型
今年7月、福島県三春町にオープンした「環境創造センター」交流棟(コミュタン福島)。福島県内外に原発事故がもたらした問題と環境回復の取り組みを知らせるというこの施設ですが、果たして、本当に原発災害の教訓を伝えるものになっているのか。今回は、11月23日に同センターで開催された「フクシマ・アクション・プロジェクト」の学習会について報告します。

フクシマ・アクション・プロジェクト

本当に伝えられているのか?福島の教訓-チェルノブイリとの比較から福島県に対して環境創造センターに関する申し入れを行うFAPの佐々木慶子共同代表(右)
ピースボートは2011年3月11日以来、原発災害の影響を受けた福島の市民の方々と共に、その教訓を国内外に広く伝える活動をしてきました。その一環として、福島の市民グループ「フクシマ・アクション・プロジェクト(FAP)」に2012年以来かかわってきました。

福島県では、2012年以来、原発事故で影響を受けた環境の回復と創造を目的に「環境創造センター」の整備が進められてきました。このセンターは、原発災害の環境影響に関する「研究棟」と、県内の小学生らを対象とした教育を行う展示を中心とする「交流棟」が併設されているものです。FAPは、福島県に対して、環境創造センター交流棟の展示内容が「安全神話」の過ちを繰り返すものにならないよう、注意喚起と要請を行ってきました。

コミュタン福島とチェルノブイリ博物館を比較する

本当に伝えられているのか?福島の教訓-チェルノブイリとの比較から「チェルノブイリ博物館」の展示内容を説明する後藤さん
11月23日に環境創造センター交流棟(コミュタン福島)で開催された学習会では、「『チェルノブイリ博物館』と『コミュタン福島』の展示を比較して」と題して、福島大学准教授の後藤忍さんにお話しいただきました。後藤さんは、今年9月にウクライナ・キエフにあるチェルノブイリ博物館を訪問した経験から、教訓の継承、放射線教育、人権教育の視点から同博物館とコミュタン福島の展示内容を比較しお話しされました。

後藤さんは、チェルノブイリ博物館には福島原発事故のコーナーがあり、そこには双葉町に掲げられていた「原子力明るい未来のエネルギー」という看板の写真が展示されていたことを紹介。このように行政の原発推進の姿勢が批判的にとらえられていることに比べて、福島県の展示には行政の責任への視点が欠けているのではないかと指摘しました。

展示に足りないものは何か?

本当に伝えられているのか?福島の教訓-チェルノブイリとの比較から環境創造センターに展示されている各月一日平均の廃炉作業従事者数。写真の6370人という数字は、2016年1月の一日平均。
コミュタン福島では2011年3月11日からの出来事の年表や爆発した福島原発の模型、当時報道されていた新聞、避難者数や避難区域設定の変遷、県民健康調査や内部被曝の予防、住宅除染率、下水汚泥の放射能濃度など、多くのデータが現在進行形で展示されています。

ただ、この展示を見たFAPのメンバーからは、まだ本来展示されるべきことが展示されていないのではないかという意見が出ました。例えば、福島県民の暮らす環境が原発事故後どのように変わったのかということ。事故後には外出時にマスクをせざるを得なくなったり、子どもたちは公園で遊べなくなりました。あるいは、汚染水により環境が破壊され、県内の漁業関係者や生態系に強い影響を与えている現状は示されていません。

学習会のなかでは、FAPとして今後も展示内容について県に要望を出し、話し合っていくことが確認されました。

朝日新聞で大きく報道されました

本当に伝えられているのか?福島の教訓-チェルノブイリとの比較からFAPの学習会で報告するピースボートの川崎哲
学習会の様子は、朝日新聞の福島版で大きく報道されました。

2016年11月27日付の「原発事故は教訓化されているか?福島大教員ら検証」と題する記事です。

記事は、ピースボートの川崎哲による報告内容も紹介。「放射性廃棄物の管理問題が県と日本の一番の環境問題であるとの認識に欠ける」と批判したとして引用しています。

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