クラスター爆弾の基礎知識(2016年版)

クラスター爆弾の基礎知識(2016年版)
ピースボート地雷廃絶キャンペーンP-MACは、地雷と同様に多くの市民を傷つけるクラスター爆弾の廃絶を目指しています。ここではクラスター爆弾の特徴や現在の被害状況、世界の動きを紹介しています。

クラスター爆弾の特徴「被害者は子どもをはじめとした一般市民」

クラスター爆弾の基礎知識(2016年版)クラスター爆弾の子爆弾
クラスター爆弾は、ひとつの爆弾の中に何百個もの子爆弾が入っています。爆撃機などから投下されると空中で破裂し、子爆弾が広い範囲にばらまかれます。子爆弾の中には金属の破片などが仕組まれており、建物や人の身体を貫いて破壊します。

クラスター爆弾は、広い範囲にばらまかれるため、戦争に直接関係のない人々が被害に遭うことがとても多い兵器です。クラスター爆弾の被害に遭うと、死亡する確率も高く、命が助かったとしても手や足を失ったり、体中に傷跡が残ったりと、深刻な障がいが残ります。
また、子爆弾は不発弾となって残ることがとても多く、この不発弾は地雷と同じように、半永久的にその力を持ち、人々を危険にさらします。戦争が終わった後もクラスター爆弾の被害が絶えません。

子爆弾は鮮やかな色をしているものもあり、子どもたちが興味本位で手をふれてしまい、被害に遭うことも多いです。また、不発弾の処理もたいへん危険な作業で、除去作業員への被害も多く伝えられています。

クラスター爆弾の被害「シリアやイエメンで被害が急増しています」

《被害者数》
記録に残っているだけで、2015年末までに20,300人が被害にあいました。クラスター爆弾の被害は他の不発弾との区別がつきにくいため、より多くの被害者がいると思われます。これまでに36の国と地域で55,000人以上が被害にあっていると考えられます。

2015年には417人のクラスター爆弾による被害者が確認されています。最も多いのはシリアで248人、続いてイエメンで104人が被害に遭いました。シリア、ウクライナ、イエメンではクラスター爆弾の攻撃による被害が確認されています。少なくとも10の国と地域(アフガニスタン、カンボジア、チャド、レバノン、ラオス、シリア、ウクライナ、イエメン、ナゴルノ・カラバフ、西サハラ)でクラスター爆弾の不発弾による被害が確認されました。

被害者の97%は一般市民で、そのうち36%は子どもです。


《クラスター爆弾の埋設国》
2016年8月現在、27の国と地域でクラスター爆弾が不発弾となって残っています。また、5カ国にクラスター爆弾埋設国の疑いがあります。
2015年の前半にはスーダンとウクライナ、2015〜2016年にかけてシリアとイエメン、2016年にナゴルノ・カラバフで、新たなクラスター爆弾の使用により不発弾が増加しました。

・埋設国
アフガニスタン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カンボジア、チャド、チリ、クロアチア、コンゴ民主共和国、ドイツ、イラン、イラク、ラオス、レバノン、リビア、モンテネグロ、モザンビーク、セルビア、ソマリア、南スーダン、スーダン、シリア、ウクライナ、イギリス(フォークランド諸島)、ベトナム、イエメン、コソボ、ナゴルノ・カラバフ、西サハラ
・埋設国と疑いのある国
アンゴラ、アゼルバイジャン、コロンビア、ジョージア、タジキスタン


《クラスター爆弾の使用》
クラスター爆弾は第二次世界大戦ではじめて使われました。その後、2014年までに少なくとも43の国と地域でクラスター爆弾が使われています。

・最近、クラスター爆弾が使用された国
タイがカンボジアに対して使用(2011年)、リビア(2011年と2015年)、シリア(2012年〜)、スーダン(2012年と2015年)、南スーダン(2014年)、ウクライナ(2014年〜2015年)、イエメン(2015年〜)
※ナゴルノ・カラバフとソマリアでも2016年に使用された疑いがある
 

クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)

クラスター爆弾の基礎知識(2016年版)クラスター爆弾禁止条約の締結をアピールするためにピースボート船上でおこなったダイ・イン
2007年2月、クラスター爆弾の被害に危機感を抱いた各国政府やNGOが、ノルウェイのオスロに集まり会議を開きました。そして、2008年末までにクラスター爆弾禁止条約(通称オスロ条約)を作ることを宣言。その後、条約作りに賛同する国々が会議を重ね、2008年5月には条約案が完成しました。同年12月3~4日にはオスロで調印式が行われ、日本を含む94カ国が条約に署名しました。2016年8月現在、119カ国が署名しています。

オスロ条約の成立には、対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)と同様、世界中のNGOが重要な役割を果たしました。世界各地で様々なNGOがクラスター爆弾の廃絶を訴えるキャンペーンを展開し、各国政府はクラスター爆弾の廃絶へ動き出しました。また条約作りにも大きな力を発揮し、その結果、ただの軍縮条約にとどまらない、被害者支援なども盛り込んだ人道的条約が完成しました。

〈クラスター爆弾禁止条約の主な内容〉
・クラスター爆弾の開発、製造、保有、移譲を禁止する
・これまで保有してきたクラスター爆弾を遅くとも8年以内に廃棄処分する
・不発弾となったクラスター爆弾を10年以内に除去する
・被害者に対して、適切な支援を提供する
・条約加盟国である他の国に対しても支援を行う
・未加盟国に対して、条約加盟を働きかける

日本のクラスター爆弾対策

日本は2008年12月、クラスター爆弾禁止条約に署名しました。それまで自衛隊が保有していたクラスター爆弾は2015年2月に廃棄処分が終了しました。条約に署名した国々のうち「先進国」を中心とする一部の国は、今回締結された条約では規制されない最新式のクラスター爆弾の導入を予定していますが、日本政府は「今後いかなるクラスター爆弾も導入しない」と明言しました。また、日本政府はクラスター爆弾の被害者への支援を行い、条約未署名の国々に対しては署名を働きかけていくとしています。

・日本に残るクラスター爆弾問題
日本はオスロ条約加盟国のため現在はクラスター爆弾を保有していませんが、アメリカはオスロ条約に加盟していません。そのため、沖縄ではアメリカ軍がクラスター爆弾の投下訓練を行っています。米軍基地に保有し、アメリカ軍が管轄する射爆撃場(爆弾やミサイルの発射訓練で着弾地となる演習場)に投下していますが、アメリカ軍は日本政府に対して、詳細を明らかにしていません。
また、日本政府は、安全保障関連法案の議論の中で、法的には自衛隊の後方支援活動として弾薬を運ぶことは可能で、その中にはクラスター爆弾も含まれるとしています。


参考: 「Cluster Munition Monitor 2016」 クラスター爆弾連合(CMC)発行

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