モザンビーク・マファララ地区の歴史と課題をさぐる(マプト)

プロジェクト:UPA国際協力プロジェクト 寄港地エリア:アフリカ クルーズ: 第90回 地球一周の船旅
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環境・エコ 貧困問題
モザンビーク・マファララ地区の歴史と課題をさぐる(マプト)ピースボートの参加者は幾種もの伝統舞踊で迎えられました。
ここでは、第90回ピースボート地球一周の船旅で訪れたモザンビーク・マプトでの交流プログラムの様子をご紹介します。首都マプトには、モザンビーク共和国の独立の歴史を語る上で欠かせない重要な場所があります。現在は木造の家やゴミ箱が未舗装道路の脇に並んでいる「マファララ地区」です。独立後最初の大統領となったサモラ・マケル氏や、1960年代に活躍したサッカー選手エウセビオなど、マファララ地区は国民的な有名人を輩出してきた場所でもあります。

地域を訪れるツアーを運営する

モザンビーク・マファララ地区の歴史と課題をさぐる(マプト)NGO団体『Dambo』はマファララ地区のゴミ収集をカートで行うプログラムを実施しています。
マファララ地区で活動をしているNGOのひとつ「イベルカ(IVERCA)」は、2009年から地区を巡るツアーを企画・運営し、文化活動に焦点をあてています。

団体のメンバーであるイヴァン・ララナジェイラ氏は、このプロジェクトを仲間と共に作り上げました。ブラジルではリオデジャネイロのファベーラと呼ばれる貧困地区を、また南アフリカ共和国では旧黒人居住区ソウェトを訪れるツアーがあることを耳にし、それらからヒントを得て、マファララ地区探索のツアーを作り上げたのです。

「私たちの目的は、観光客にマファララの歴史とありのままの生活を見せ、同時に地域住民がこの地区を誇りに思えるような活動を展開していくことです」と彼は説明しました。


モザンビークのアパルトヘイト

モザンビーク・マファララ地区の歴史と課題をさぐる(マプト)マファララ地区は、未舗装道路にゴミ箱と木造の家が無造作に立ち並ぶ地域です。
モザンビークがまだポルトガルの支配下にあった時代に起こったアパルトヘイト(人種隔離政策)に対し、文化的・政治的な抵抗運動がマファララ地区から始まりました。モザンビークの歴史の中で重要な役割を担う地域です。

当時の出来事は、公式には「アパルトヘイト」という呼ばれたわけでも、隣国南アフリカ共和国ほどの惨劇があったわけでもありません。

とはいえ、この元ポルトガル植民地でも、地元民は身分証明書の携帯を義務付けられ、ポルトガル人入植地域への立ち入りは禁止されていました。また、公共交通機関に乗車するときは後方に立つことを強いられ、ビーチでの海水浴も禁じられました。

このような社会背景にあった1950年~60年代に、文化人による抵抗運動が巻き起こります。詩人ノウミア・デ・ソウサと作家ホセ・クラヴェリニアが最初に反植民地主義を表明した地がマファララ地区でした。

ごみ収集と道路の清掃が守る地域の安全

モザンビーク・マファララ地区の歴史と課題をさぐる(マプト)マファララ地区の排水溝掃除をピースボート参加者も手伝いました。
この日のツアーは、イベルカ設立当初からのパートナーNGOである「ダンボ(Dambo)」本部への訪問から始まりました。ダンボは1991年の創立以来、長年に渡ってゴミ収集や道路清掃プログラムを行っています。

マファララ地区は、十分にインフラや社会福祉が行き届いておらず、犯罪の多発や識字率の低さが目立つ貧困地域で、失業率に至っては70%を越えています。政府をあげてこの地域の状況改善に取り組んでいるものの、飛躍的な公共サービスの充実をできるほどの予算はありません。

そのため、地域住民が自分たちで問題解決に向けたプロジェクトを推し進めていく必要があります。ツアーの参加者は、ダンボのメンバーが作ったゴミ収集システムについて学びました。

ダンボでは現在、月曜日から土曜日まで8人のメンバーが小さなカートで未舗装の道を練り歩き、ゴミ収集を行なっています。担当者の一人であるザカリアス・バジリオ氏は「電動のカートならまだしも、人力で、かつ少ない人数で行う大変な仕事なので、全員の協力が不可欠です。ゴミの散在が引き起こす病気を予防するためのプロジェクトでもあるのですが、その原理はまだ広く理解されていないのが現状です」と語ります。

ゴミ収集の担当者は、笛を吹きながらカートを引いていき、地域住民はその笛の音を収集の合図としています。また、この団体は適切なゴミ処理方法や住環境を清潔に保つことの大切さについて、住民の意識を高めるためのキャンペーンを主催しています。彼らの目的はゴミを取り残すことなく収集することで、住民による道端へのゴミ放棄を完全に無くし、病気発生のリスクを抑えることです。

支援を体験するということ

モザンビーク・マファララ地区の歴史と課題をさぐる(マプト)ピースボートからDamboへ清掃用具を寄付しました。
他にもダンボは排水溝と側溝の掃除にも取り組んでいます。悪臭や感染症の原因となるゴミの塊を取り除く作業は熊手を使って2日おきに行われます。

ツアー参加者は、実際にこの作業を体験し、ダンボのメンバーが地元地域のために行なっている活動がいかに大変なことかを身をもって学びました。

参加者の一人である鈴木一美さんは「決して楽ではない仕事であり、また評価もされにくいが、このプロジェクトを率いているダンボの存在に対して我々は感謝するべきだと思います」と話してくれました。

排水溝を清掃した後、一行はダンボ本部へ戻り、約20人の子供達を抱えているダンボの保育施設へ向かいました。「子供たちは孤児であったり、家族が家庭崩壊していたりします。そのような子供達を預かり、食事を提供しています」とダンボ代表のグラモ・ホセ氏は説明してくれました。

保育施設にて、ピースボートからぺン1000本以上とノート200冊の寄付品が手渡されました。また前年の訪問に引き続き、清掃活動に必要な土埃対策のマスク100枚以上とゴーグルも届けました。

ピースボートがマファララを訪れる意味

モザンビーク・マファララ地区の歴史と課題をさぐる(マプト)Damboが運営する保育施設で、ピースボートの参加者は子供たちと交流しました。
ツアー参加者はマファララ地区探索の途中、地元の小さなレストランで昼食をとりました。「ザンビジアン・チキン」、「マタパ」、「ムカパタ」など伝統料理を楽しめる場所です。マタパは、魚介類をココナッツミルクとピーナッツをベースとしたソースでからめたもの、ムカパタは煮豆料理。

参加者はツアーの中で、さまざまな伝統文化に触れる機会を得ました。訪問した小学校では、伝統舞踊の「ツホ・ダンス」を子どもたちが披露してくれたり、地域の女性たちが北部の伝統舞踊を披露してくれたりしました。

一日ガイドをしてくれたララナジェイラ氏は最後に「このツアーを通して、ピースボートの仲間たちがマファララ地区での暮らしについて良い印象を持ち帰ってくれることを願います。私たちの地域はたくさんの問題に直面しているけれど、地元のNGOとピースボートが今後も協力して活動すれば、多くの人の生活レベルを向上させることができます」と語りました。
※当記事は、英語のリポートに基づいて編集されたものです。原文は以下のリンクからご覧ください。

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