奇跡の音楽教育「エル・システマ」オーケストラとともに、第91回ピースボートが横浜に帰港!

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奇跡の音楽教育「エル・システマ」オーケストラとともに、第91回ピースボートが横浜に帰港!
2016年7月26日横浜大桟橋埠頭に、第91回ピースボート地球一周の船旅を終えたオーシャンドリーム号が着岸しました。船には、南米ベネズエラから乗船した「ベネズエラ青少年オーケストラ・システム(エル・システマ)」のメンバー25名も乗船していました。途中、パナマで降りた15名を加え洋上では40名によるオーケストラ演奏も行いました。
奇跡の音楽教育「エル・システマ」オーケストラとともに、第91回ピースボートが横浜に帰港!神戸に向けて出航する船を、演奏で見送ったエル・システマのメンバー
ピースボートは2006年から10年にわたって、エル・システマを運営するシモン・ボリーバル音楽財団との交流を重ねてきましたが、オーケストラ編成のメンバーが来日するのは初めてとなります。

帰港当日の記者会見には、駐日ベネズエラ大使が出迎え、エル・システマの若いメンバーがピースボートに乗って感じた感想などを語りました。ここではその会見の様子をお伝えします。

帰国する7月31日まで、メンバーは福島第一原発に近い相馬市や、震災の被害にあった熊本を訪れ、演奏や交流を行います。

初の「船上音楽教室」を開催

奇跡の音楽教育「エル・システマ」オーケストラとともに、第91回ピースボートが横浜に帰港!エル・システマでパーカッションを担当するジョニー・オルテガさん(左・20歳)と、ビオラを演奏するフランシフェ・ロペスさん(21歳)。どちらもピースボートで特に印象に残ったのが世代を越えて夢中になれた洋上運動会だったという。
今回のクルーズに乗船したのは、エル・システマの中で「フランシスコ・デ・ミランダ・ユース・オーケストラ」のメンバーです。ベネズエラから乗船したメンバーは、途中の寄港地であるカリブ海の島キュラソーやパナマ、グアテマラ、ハワイにてコンサートを実施、現地の音楽家や市民と交流を行いました。

今回、船の上ではエル・システマのメンバーが演奏するだけでなく、日本人の参加者に対して若者たちが音楽を指導する洋上音楽教室も実施されました。

ベネズエラ各地には、人々が音楽を教え合い、音楽と通してコミュニケーションや意識の向上を創造する「ヌークレオ」と呼ばれる音楽教室が1000以上あります。そこでは60万人を越える子どもたちと、9000人近くの指導者が活動しています。また、国外にもエル・システマの理念を受け継ぐ音楽教室が20ヶ所以上存在しています。

船内では楽譜も読めない人を含めて、多くの参加者が音楽教室に参加。オーケストラ体験やコーラス、音楽に合わせた詩の朗読なども行い、音楽の素晴らしさだけでなく、ベネズエラのメンバーとの温かい交流も育みました。

音楽を通じて人と人とが分かり合う

奇跡の音楽教育「エル・システマ」オーケストラとともに、第91回ピースボートが横浜に帰港!駐日ベネズエラ特命全権大使の石川成幸氏
◆石川成幸駐日ベネズエラ特命全権大使

ピースボートとエル・システマが、2006年から築き上げてきたつながりが、こうやって発展していることに喜びを感じています。争いが尽きないこの世界にとって、平和の文化をつくることがとても大切になってきています。

エル・システマの音楽を通じた教育は、まさにその平和の文化をつくるための方法であると考えています。エル・システマの音楽教育は、大人だけでなく子どもや高齢者にとっても有効です。言葉のいらない音楽という手段を通じて人々が分かり合うことのできるシステムになっているのです。エル・システマのメンバーは、その役割を果たしながらピースボートでの旅をしてきたと思います。

ピースボートとの協力体制は、日本とベネズエラという2国間の交流だけを意味するのではなく、ベネズエラと世界をつなげる絆を作っていることにもなっていると考えています。

異なる文化の中で過ごした美しい時間

奇跡の音楽教育「エル・システマ」オーケストラとともに、第91回ピースボートが横浜に帰港!アンドレス・ゴンザレスさん
◆アンドレス・ゴンザレスさん(「フランシスコ・デ・ミランダ」ディレクター)

エル・システマのメンバーは、船に乗る前にはどんな旅になるかとワクワクする一方で、異文化に慣れるかという不安もありました。でも船の中では日本の参加者の方が気軽に「オラ!」とスペイン語で挨拶をしてくれて打ち解けることができました。

私たちは日本語を習い、日本人はスペイン語を習ってお互い、片言で話すようになりました。メンバーは最終的には、全員が箸を使えるようになりました。最後はスープまで箸で飲んだくらいです(笑)。歩き方も、挨拶の仕方も、コミュニケーションもまったく違うものでした。私たちは、異なる文化と触れ合う中で、まぎれもなく美しい時間を過ごしました。

手をとって演奏の仕方を教えたりする中で、親子のような親しい関係を築くことができました。私たちは音楽を通して冒険しているかのようでした。

楽しかった船の生活が終わったのは残念ですが、私たちの間には友情が生まれ、これからもつながっていくという思いを感じています。

心から踊るのはなんて素敵なんだ

奇跡の音楽教育「エル・システマ」オーケストラとともに、第91回ピースボートが横浜に帰港!林仁美さん
◆林仁美さん(エル・システマの水先案内人パートナー)

私は、参加者の中でエル・システマの活動をアシスタントをする洋上アシスタント(水先案内人パートナー)の役割を希望して、船内でエル・システマの皆さんと交流をさせていただきました。船上では、一緒に楽器を教えてもらったり歌を歌ったり、ダンスをしました。

その中でも、みんなとコミュニケーションをとるのがとても楽しかったです。楽器を習ったメンバーはほとんど初心者ばかり。音が出なくて大変だった時も、エル・システマのメンバーが一つ一つ優しく教えてくれました。

その中で言葉が通じないのでジェスチャーで教えてくれたりする中で距離を縮めて、一つの演奏会をすることができました。サルサも教えてもらいました。日本ではダンスのレッスンって、先生と同じ動きをするという感じなのですが、彼らは心から踊っているので、その姿が本当に素敵だなと思いました。スペイン語も教えてもらいました。ぜんぶが楽しい経験になりました。

◆ベネズエラ音楽教育システム「エル・システマ」とは

エル・システマは、今年創立41周年を迎え、現在では70万人以上の演奏者を抱えるまでに成長したベネズエラの音楽教育システムです。エル・システマ創設当初のベネズエラ社会では、貧困やコミュニティの崩壊、蔓延する暴力などを理由に、犯罪にはしる子どもたちが後を絶ちませんでした。そこで、音楽を通じて地域社会を再生させ、住民相互のコミュニケーションを活性化させることを目的に、無料でクラシック音楽を誰でも学べるような場と機会を提供したことに始まります。

エル・システマからは、世界的有名な音楽家を多数排出しています。中でも指揮者であるグスターボ・ドゥダメルは、ベルリンフィル・オーケストラを率いるなど、特に大きな注目を浴びています。

各地域で機能しているヌークレオ(音楽練習所)では、小さい頃からの音楽体験を通じて社会性(忍耐、協調性、自己表現力、喜び)を学ぶことができます。児童保護や犯罪撲滅などに繋がる「エル・システマ」は国際的に評価され、様々な賞を受賞しています。

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